活用している理論について

【行動変容ステージ】意思決定バランスを運動の習慣化に活かす方法

運動はいいことだけど、やるのは大変だな

思い切ってジムに行ったけど、めんどくさくなってきたな

筋トレグッズ買ったら筋トレ続けられるかな

 

運動を習慣化しようとすると、こんな悩みが出てくる人は多いのではないでしょうか。実際に、ジムに行くまでの準備が大変でいかなくなってしまったり、筋トレグッズを買ったけどやらなくなってしまった…。など、後悔した経験を、1度は聞いたことがあったり経験したことありますよね。

 

この悩みを解決するために共通する考え方があります。

それが、意思決定バランスです。

 

私は、「運動」を通して、患者さんの生活を改善する理学療法士という仕事を10年間行っています。運動については、一般の方よりも少し専門的な知識や技術を持っています。

 

今回は、意思決定バランスの詳細とその知識の活かし方について解説していきます。

 

今回の記事を読むことで、運動に関する1つの判断基準ができ、習慣化に向け効率的な行動がとれる可能性が上がります。

 

意思決定バランスについて

Decision-balance

皆さんは、新しい行動をしようとする際に、その行動をすることでのメリット(恩恵)とデメリット(コスト)を考え、実際に行動に移すかどうかを決断しますよね。このときの、メリット・デメリットのバランスを意思決定バランスと言います。メリットがデメリットを上回れば、行動をとる可能性が上がります。

 

具体的に以下のような感じです。

運動はストレス発散にもなるし健康にもいいよな。でも、運動の時間作るのも大変だし、疲れるよな。

このときに、メリットが上回れば運動をしよう!となりますし、デメリットが上回ったら運動はしなくていいか…となります

 

 

画像は、行動変容ステージからみる意志決定バランスの変化を表したものです。

 

行動変容ステージとは、人が行動を習慣化する流れを5つのステージに分けたものです。上の段階になるにつれ行動の習慣化が進んでいる状況になります。行動変容ステージについての詳細は別記事にしていますので、気になった方は見てください。

関連記事:運動を習慣化させるために知っておくべきたった1つのコツ

 

意思決定バランスは、行動変容ステージが上がるたびにメリットのほうが多くなり行動を行いやすくなります。

 

週1回のランニングをしようと思った際に、運動をまったくしていない人(無関心期・関心期)と運動を定期的にしている人(維持期)では、圧倒的に運動を定期的にしている人のほうが行動しやすいです。

 

これは、運動をすることのメリットを十分に経験しており、メリットがデメリットを上回っている状況だからです。行動変容ステージが高い人は、新しい運動も取り入れやすくなります。

 

意思決定バランスについては、以下の4点を覚えておきましょう。

  • 新しい行動をするときに考えるメリット・デメリットのバランスを意思決定バランスという
  • メリットが上回れば、行動をとる可能性が上がる
  • 行動変容ステージごとで、意思決定バランスは変化する
  • 行動変容ステージが上がれば、メリットが上回り新しい行動を取り入れやすくなる

 

意思決定バランスについての注意点

意思決定バランスの概要について紹介したので、さっそく本題に移りたいとこですが、その前に注意してほしいことがあります。それは、意思決定バランスは日によって変化するということです。

 

なぜなら、人の考えや身体的・精神的疲労など意思決定に影響するものも常に変化するからです

 

たとえば、残業が続いて身体的な疲れがあったり、上司から叱責されて落ち込んでいたら運動しようとは思いにくいですよね。

 

そのため、意思決定バランスは常に変化するものだと理解して、行動ができなかったときには「自分の意志が弱い」と考えず、意思決定に影響を与える要因について考え対応していくことが大切です。

 

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意思決定バランスは、行動変容ステージごとに変化します。行動変容ステージは、前後のステージを行ったり来たりして徐々に変化します。それに合わせて、意思決定バランスも揺れ動いています

 

運動の習慣化に意思決定バランスを活かす方法

ここからは、前述した意思決定バランスをどのように活用していくかを紹介します。

 

意思決定バランスの活用方法は次の3つです。

  • 運動ができなかったときの理由付けのとき
  • どんな運動から始めるかを決めるとき
  • 運動をするための自己投資を決めるとき

 

3つの活用方法を紹介する前に抑えておいてもらいたい大切なことがあります。

 

それは、あなたの行動変容ステージを把握することです。

 

簡易的に行動変容ステージを把握できる表を作成したので、こちらを見てあなたが行動変容ステージのどの段階にいるか確認しましょう。

行動変容ステージ
判断基準
無関心期
運動を行う気がまったくない
関心期
運動をしようか迷っている(6カ月以内に始めようと思っている)
準備期
1カ月以内に運動をはじめようと思っている。または、不定期だが運動をしている。
実行期
定期的な運動をしているが、始めてからまだ間もない(6カ月未満)
維持期
6カ月以上、定期的な運動をしている

 

ご自身の行動変容ステージをより詳しく知りたい方は、こちらの記事をみてみてください。

関連記事:運動を習慣化させるために知っておくべきたった1つのコツ

 

運動ができなかったときの理由付けのとき

運動ができなかった自分にがっかりして、モチベーションを自分自身で下げてしまうことは多いと思います。そのまま挫折してしまうこともあるでしょう。これは、運動をするメリットとデメリットのバランスが大きく揺れ動く関心期や準備期の方に多いです。

 

意思決定バランスの知識をここで使いましょう。関心期や準備期の方で運動ができなかった理由は、あなた自身のやる気などの問題ではありません。意思決定バランスが揺れ動きやすい時期だから、運動ができる日もあればできない日があるのが当たり前だからです。運動をするよりも、優先したいことがあったのかもしれません。(身体を休めたい、趣味を楽しみたいなど)

 

運動ができなかった際には、自分を否定せず意思決定バランスの問題にすることで、次の運動に向けて前向きになれます。

 

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関心期や準備期の方は、運動ができなかったことよりも運動ができた回数に注目していきましょう。

 

どんな運動から始めるかを決めるとき

運動を始めるときは、どの運動から始めるのか悩むときが多いと思います。このときも、意思決定バランスを考えながら選択することで、継続できる可能性を高めることができます。

 

関心期や準備期の方に関しては、運動をするデメリットがメリットを上回る日が多いです。そのため、この時期はなるべく運動をするまでの段階を少なく済む方法を考えましょう。

 

例えば、

スポーツウェアを着なくて済む方法にする

家の中でできる運動方法にする

運動器具を使わない運動方法にする

 

極端なことを言えば、運動したいと思った時に、その場でできる運動方法にすることです。意思決定バランスは常に揺れ動いているので、運動をするメリットが上回った時に、すぐ運動ができる方法にしておくことが重要です。

 

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3分だけでもいいので、運動をしたという成功体験が習慣化につながります。初心者を対象とした短い時間でできるyoutube動画が個人的にはおすすめです

 

運動をするための自己投資を決めるとき

運動グッズ(ダンベルやゴムバンド等)やジムなど運動をするためにお金を使うときには、意思決定バランスから判断しましょう。

 

デメリットがメリットより上回ることが多い関心期や準備期の方は、自己投資はおすすめしません。なぜなら、もし運動ができなかったときのデメリットがより大きくなりやすいからです。

 

もしも、ジムを利用して月に1回しか利用できなかったらお金を無駄にしたと思いませんか。こうなってしまうと、運動ができなかったことに加え、お金を無駄にしたというデメリットがのしかかってきます。こうなってしまうと挫折しやすくなってきます。

 

自己投資するときは、実行期に入ってから行ったほうが効率的です。

 

kan
運動を始めるときはまず形から!と考える方は多いと思います。以前の僕もそうでした。ただ、運動を始めるときは、形よりも運動をいかに継続させるかを意識しましょう。

 

まとめ

今回は、意思決定バランスとそれを運動の習慣化にどのように活用するかを紹介しました。

 

今回の話のまとめは次の通りです。

 

意思決定バランスについて

  • 新しい行動をするときに考えるメリット・デメリットのバランスを意思決定バランスという
  • メリットが上回れば、行動をとる可能性が上がる
  • 行動変容ステージごとで、意思決定バランスは変化する
  • 行動変容ステージが上がれば、メリットが上回り新しい行動を取り入れやすくなる
  • 意思決定バランスは日によって変化する

 

意志決定バランスを活用する前には、自身の行動変容ステージの段階を把握しましょう。

 

運動の習慣化に意志決定バランスを活用する方法は次の3つです。

  • 運動ができなかったときの理由付けのとき
  • どんな運動を始めるか決めるとき
  • 運動をするための自己投資を決めるとき

 

以上となります。意思決定バランスを活用して、自分を責めず効率よく運動を習慣化していきましょう。

 

  • この記事を書いた人

kan

理学療法士/経験年数:11年/行動変容段階モデルを活用し、運動習慣0から週6回の運動習慣を身につける/運動習慣を身につけられる人を増やし、日本の健康寿命を延ばすために情報を発信していきます。

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