行動変容段階モデル?なにそれ美味しいの?
行動変容段階モデルって何に使われるの?
難しい言葉で分かりにくそう
「行動変容段階モデル」という言葉はあまり聞きなじみがないですよね。難しそうな言葉で、抵抗感がでる方もいるとおもいます。
行動変容段階モデルは、「人が健康に関する習慣を変える流れや影響する要因、効果的な行動・考え方」をまとめた理論になります。簡単に言えば、運動を習慣化するための攻略本のようなものです。
僕は、運動の専門家である理学療法士として、患者さんの運動を習慣づける仕事をしています。また、僕自身も行動変容段階モデルを活用して、運動習慣0から週6回の運動習慣を身につけました。
この記事では、行動変容段階モデルの詳細をたとえ話を通じて解説しています。
この記事を読むことで、行動変容段階モデルが分かりあなたの運動習慣化を変えるきっかけをつくることができます。
行動変容段階モデルの分かりやすい例え話をすぐ読みたい方はクリック
この記事で分かること
行動変容段階モデルを構成する4つの要素って?
行動変容段階モデルは、「人が健康に関する習慣を変える流れや影響する要因、効果的な行動・考え方」をまとめた理論になります。
〇習慣を変える流れ
行動変容ステージ
〇影響する要因
意思決定バランス、セルフエフィカシー
〇効果的な行動・考え方
変容プロセス
それぞれに当てはまる要素はこのような形になります。次に4つの要素について、それぞれ解説していきます。
行動変容ステージ
行動変容ステージは、人が習慣を変える際の流れを5つの段階にしたものです。下にいくにつれ、運動の習慣化に近づいていきます。
○無関心期
習慣を変えるつもりもないし、運動に興味もない
○関心期
運動に関心はあるけど、少なくとも半年は習慣を変えるつもりはない
○準備期
運動に関心があり、1ヶ月以内には運動を取り入れてみようと思う。または、不定期に運動をやっている
○実行期
定期的な運動が習慣づいてから半年以内
○維持期
定期的な運動を半年以上行っている
意志決定バランス
運動に関連する行動をするかしないかの意志を決定するバランスのことです。これは、運動に関連する行動の恩恵(メリット)と負担(デメリット)の2つのバランスのことをいいます。
恩恵(メリット)が大きければ行動を起こしやすく、負担(デメリット)が多ければ行動が起きにくいということです。
各行動変容ステージごとの意志決定バランスの特徴です。数字で表すとこんな感じです。適切な行動をしていくことで、徐々に運動の恩恵が増えて負担が減り行動しやすくなっていきます。
〇無関心期
恩恵0、負担100。運動する必要もないししたくない。
〇関心期
恩恵25、負担75。運動する必要は分かるけどあまりしたくない。
〇準備期
恩恵50、負担50。運動する必要も理解でき、できる限り運動したい。
〇実行期
恩恵75、負担25。運動したい。時々めんどくさい。
〇維持期
恩恵100、負担0。運動?いつものことで普通のことです。
実際は、こんなキレイに意志決定バランスが変わるわけではありません。通常、恩恵・負担の数値は日々変化します。
セルフエフィカシー
運動を継続する自信のことです。
仕事が忙しくなった、子供ができたなどの影響があっても「自分なら運動を続けられる」という確信ですね。
こちらも適切な行動をしていくことで、セルフエフィカシーが高まり、行動変容ステージがステップアップしていきます。
○無関心期
運動に関心がないため、自信という感覚がない
○関心期
行動ができていないため、まだ自信が低い状態
○準備期
行動することが増え、自信が少しずつ高くなる時期
○実行期
少しのトラブルがあっても対処でき、ある程度自信がある時期
○維持期
継続できる自信が強く、大きなトラブルがあっても対処できる時期
変容プロセス
行動変容ステージのステップアップに影響する「意思決定バランス」「セルフエフィカシー」を高める方法のことです。
〇2つの変容プロセス(方法)
- 考え方の変化に関係する「認知的プロセス」
- 行動の変化に関係する「行動的プロセス」
それぞれ5つの方法があり、行動変容ステージの特徴ごとに適切な方法を行うことで、意思決定バランス・セルフエフィカシーにいい影響を与えます。
認知的プロセス | 内容 | 主な利用ステージ |
自己発見(気づき) | 行動を変えるために、新しい情報を探したり、知ろうとする努力 | 無関心期~関心期 |
ドラマティックレリーフ(ドキリ) | 行動を変えなかったときの心身への影響を考え、ドキリとする感情的な経験をすること | 関心期 |
環境再評価(影響) | 行動を変えることで、周囲へ及ぼす影響を考えること | 関心期~維持期 |
自己評価(イメージ) | 行動を変えることで自分に及ぼす影響を考えること | 関心期~準備期 |
社会的解放(世の中の動き) | 行動を変えやすい社会に変わってきていると気づくこと | 関心期~準備期 |
行動的プロセス | 内容 | 主な利用ステージ |
反対条件付け(代替) | 運動につながらない行動の代わりとなる新しい行動や考え方を選ぶこと | 準備期~維持期 |
関係促進(サポーター) | 行動を変える・維持することを援助してくれる人を見極めること | 実行期~維持期 |
コンティンジシーマネジメント(ごほうび) | 行動を変える・維持するために自分自身にごほうびを与え強化すること | 準備期~実行期 |
自己解放(宣言) | 行動を変えるための決意・言葉・信念を表すこと | 実行期~維持期 |
刺激統制(きっかけ) | 行動を変える・維持することを連想させるものを身近に置くこと | 実行期 |
もっと分かりやすい話にすると
行動変容段階モデルを「地域で開催する腕相撲大会」を例にすると分かりやすいです。
無関心期
友人から「地域で腕相撲大会があるんだって」と聞いたあなた。
それだけ聞いても「ふーん、そんなのあるんだ」ぐらいにしか思わないですよね。
この興味すらもっていない段階が無関心期です。
ただ、優勝賞金100万円の情報が分かると「マジ!?」「どんな大会?」と興味がわきますよね。
この興味を引き出す方法が認知的プロセスになります。
運動で言えば、運動をすることのメリットやしなかったときのデメリットを知り、運動に興味をもつ時期となります。
関心期
「優勝したら100万円かぁ…でも、強い人がくるんだろうな」「自分にはムリだよな」こんな感じで、興味はあるけど参加する気はあまりない状態が関心期です。
この段階では認知的プロセスの【自己発見(気づき)】を活用して、いろんな情報を探します。ここでは、腕相撲で勝つコツや腕相撲大会の参加条件等ですね。
「腕相撲は力だけではなく、技術も重要」「参加条件は、男女別で男性握力40Kg以下、女性35㎏以下の方」などの情報が分かると自分もワンチャン優勝できるのでは?と思いませんか?
100万円手に入れた自分をイメージするとやる気も出てきますよね。
運動で言えば、運動に対するイメージの修正や運動の方法を知り、「これなら自分にもできるかも」と自信を上げていく時期となります。
準備期
「腕相撲強くなるためにはどうする」「腕相撲大会まであと何日ぐらいあるんだ」など、優勝に向けていろいろと計画を立てたり、お試しで行動する段階が準備期です。
この時期は、「腕相撲のコツを繰り返し練習する」などできることから行動して、強くなる感覚を経験していきます。
練習をしても強くなる感覚がないことも多く、「自分にはムリかも…」と思うこともあります。
そんなときは、「参加してみないと結果は分からない」「結果は出てなくても、練習は積み重ねられている」と考え方を変えたりすると頑張れることありますよね。
また、1週間練習を頑張った自分にご褒美として大好物のものを買って食べる人もいると思います。
こういった行動的プロセス【前者を反対条件付け(代替え)、後者をコンティンジシーマネジメント(ごほうび)】を活用しながら、練習を繰り返していきます。
運動で言えば、
- 目標に向けて計画を立て行動する。
- 行動していく中で、うまくいかなかったときの対処方法を学び実践していく。
- できていることに意識を向け、自信をつけていく。
このような時期になります。
実行期
「だいぶ腕相撲強くなったな」「これなら優勝もできるかも」と、練習の習慣化ができ自信がついている段階が実行期です。
この段階では、ある程度自信がついたことで気のゆるみが生じやすい時期で、ある出来事が原因で準備期に逆戻りすることがあります。
腕相撲の話で言えば、強力なライバルとの練習試合で敗れるなんてことが挙げられます。ライバルの出現で、挫折を味わい今までの自信がポキッと折れます。
そんなときにタイミングよく師匠となる人と出会います。その人からいろんなサポートを受け、自分の部屋にも腕相撲に関する格言を張ったり、練習グッズを置いたりして自信を回復させていきます。
前者を関係促進(サポーター)、後者を刺激統制(きっかけ)といった行動的プロセスを活用していきます。
運動でいえば、
- 運動を継続できる自信がある程度つく。
- 結果がでずに自信が低下する。
- サポートを受けたり、運動を連想させるものを身近におき行動しやすい環境をつくる。
このような時期になります。
維持期
「今まで壁を乗り越えてきた」「自分を信じて全力を出す」と今までの経験がもとで自信がある段階が維持期です。
ここまでくれば、今までの自分の経験に加え、あなたをサポートしてくれる人の力を借りて自然と練習を積み重ねていけます。
ライバルともお互いに刺激しあえる関係になり、「絶対にお前に勝って優勝するからな!」と宣言することもあるでしょう。
こういった、自分の信念や決意を宣言することを自己解放(宣言)といい行動的プロセスの1つになります。
そして、あなたはとうとう優勝という目標を達成します。
その後あなたは、前回大会優勝者として次の挑戦者を育成するサポーター役となるのでした。
運動でいえば、
- 今までの経験を活かしながら関係を築いた人のサポートを受けながら運動を継続していく
- 目標を達成し、ハッピー。
- 人によっては、自分の経験を活かし他の人のサポートをするという選択肢を広げ、自分の運動習慣を強化する。
このような時期になります。
行動変容段階モデルを活用するメリットはあるの?
人によっては、ネットの情報だけでも運動を習慣化できます。ただ、行動変容段階モデルを活用することで、より成功率を上げることができます。
成功率を上げることに繋がっているメリットは具体的に5つあります。行動変容段階モデルは、理解してしまえば運動以外の習慣化にも応用することができます。
この機会にぜひ、これからの人生を変える知識・技術を身につけていきましょう。
〇5つのメリット
- 不安を減らせる
- 習慣化のハードルを下げられる
- 自分を責めなくなる
- うまくいかないときの対応が分かる
- 人に自分の経験を伝えやすくなる
5つのメリットについて詳しく解説した記事もあります。行動変容段階モデルの魅力がつまってます。ぜひ読んでみてください。
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行動変容段階モデルは良いことづくし
行動変容段階モデルは、理解するまでが正直難しいです。ただ、理解してしまえば、運動の習慣化のみならず他の行動の習慣化にも応用できます。
松井秀喜さんが座右の銘にもしているウィリアム・ジェームズさんの名言の一部に「習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」というものがあります。
行動変容段階モデルは、習慣を身につけるノウハウがつまった理論になります。このノウハウを理解することで、あなたの運命が変わるといっても過言ではありません。
僕はこのブログを使って、行動変容段階モデルをできるだけわかりやすくみなさんに伝えていきます。このブログをきっかけに習慣を変え、自分の運命をよいものにできる人を増やしたいです。
僕と一緒に運命を変えるために行動していきましょう。
行動変容段階モデルを活用して運動習慣をみにつける方法について解説した記事があります。
行動変容段階モデルを活用したいけど、何をしたらいいか分からない人はぜひ読んでみてください。
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